川柳鑑賞 [川柳鑑賞]肩書きが多くさてさて何者か/𠮷田佐知 2024年5月10日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 わかる。すごくよくわかる。肩書きのたくさんある名刺をいただくことがある。よくわかる。「全日本肩書きを並べて自尊心と虚栄心を満たしてしまう委 …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]狂わせてみたいが狂えない時計/八木田幸子 2024年5月9日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 拙作にこの線を越えさせぬ血は父だろうという句がある。線を越えてみたい、時計を狂わせてみたい。常識倫理法律規則。橋を渡るとどんな世界が待って …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]寂しくてただ寂しくて群れている/原正吾 2024年5月8日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 人生のあちこちに忘れ物をしてきたような気がする。もう、取りには戻れない。そんな自分のことを周囲は哀れんでいるのではないか。笑っているのでは …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]泣いていいかしらあなたに慣れるまで/西村みなみ 2024年5月7日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 どきっとした。こんなことを言われたら、どんな気持ちになって何と答えるだろう。こんなことを言われる人は、どれだけ懐が深く魅力的なのだろう。涙 …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]ごぼう抜きされたごぼうの方である/米分只志 2024年5月6日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 僕は負けず嫌いで、勝てる土俵でしか勝負しない。それでも負けるのだから、悔しくて仕方がない。ぐぎぎぎぎぎと奥歯を幾度すり減らしてきたことか。 …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]病床にためらう月を呼び寄せる/荒岡浩志 2024年5月5日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 情感のある句だ。月。ためらう月。病床に。それを客体として人間が呼び寄せる。月は大切な人を表す比喩だろうか。それともツキを得て快癒を祈るのだ …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]戦列を抜けて視界が広くなる/辰巳和子 2024年5月4日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 いつ、どこで、僕たちは「普通」という物差しのある世界に足を踏み入れてしまったのか。今日も誰かと比べられ、明日も誰かのマウンティングに耐える …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]いつかするそのうちにする旅支度/藤本健人 2024年5月3日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 買い物をすると気分が高揚し、一時的に嫌なことを忘れられる。これを買い物依存症というらしい。自分もどうやらそれに似ていて、通販の段ボールが増 …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]光には必ず影が付き纏う/谷口修平 2024年5月2日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 雨は止むものだし、夜は朝になるものだ。光は闇によって存在することができ、闇の中で傷を負った人が伝える言葉には実感が伴って説得力がある。笑う彼女も、走る彼も。それぞれに影があって、 …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]サプリへの誘いに揺れている気弱/小池一恵 2024年5月1日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 コロナに罹って肺炎を患ってしまい、緊急入院したことがある。「あの線」をうっかり越えてしまいそうになり、以来やっぱり、健康についてよく考える …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]小さな帆張って私も風を待つ/佐藤ちなみ 2024年4月30日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 17文字という限られた文字数で、言葉を弱くしてしまう助詞の「も」の使い方には慎重になりなさいと習ったことがある。この句の「も」はとても効果 …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]恋心捨てた途端に無精ひげ/秋山博志 2024年4月29日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 「清潔感のある人がモテるらしいよ」と何度か言われたことがある。今思えばあれは、僕に足りないものを教えてくれていたのかもしれない。たられば。 …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]下駄箱に輝いた日のハイヒール/三好春美 2024年4月28日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 生きている今が一番良いに違いないのだけれど、たとえば、もう二度と同じメンバーで集うことのない教室を思い浮かべると胸が苦しくなることがある。 …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]どこまでも行こう枠からはみ出して/近藤紡藝 2024年4月27日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 明石城の石垣をよじ登ろうとしたら、上からも下からも大人たちに怒られてしまった。少年の天下への夢は、儚くも散ってしまったのである。思い返せば …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]台本があったみたいに猫通る/徳長怜 2024年4月26日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 大阪の下町を歩いた。時代ばかりが先へ急いで、内面になんの変化もない自分に焦る。ので。ときが止まったように思える空間にいると妙に落ち着くのだ …
川柳鑑賞 [川柳鑑賞]千の風まだ群れにいていいですか/長島敏子 2013年12月22日 batacchi 川柳と短歌をこよなく愛する明石のコピーライターの日記 千の風まだ群れにいていいですか 長島敏子 夕映え 「あっち」と「こっち」はどれくらい離れているのだろう。 子どもの頃 …