[川柳鑑賞日記]落丁のページは胸の奥にある／山下華子

あの日からずっと続くはずだった物語。背中を見送った日の涙は笑い話にするけれど、破りとった一枚のページは、今も詩の源泉になっている。続編を妄想する僕の顔はきっと怪しくも、胸の奥を抱いて、詩人はみんな、遠い目ばかりをする生き物だと思っている。……だよね？

落丁のページは胸の奥にある／山下華子
川柳ふあうすと　2024年12月号