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頸椎ヘルニアになって、コロナになって、肺炎になって、入院して、卒業式の先生のような言葉をもらった日。

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首のヘルニアになってしまい、毎日続けていたウォーキンができなくなってしまった。するとみるみる体力が弱ってしまい、その流れで新型コロナウイルスに罹患した。2週間の入院を経て生還した頃には、すっかり全身の筋肉が落ちていた。回復に努める毎日。海岸や公園を、ウォーキング用の杖を買って歩き続けた。僕を休ませてくれた優しいベンチ。元気になった今も、毎朝のように腰を下ろしている。

ただのコロナではなかった。肺炎になってしまった。その肺炎もまた、〈コロナウイルスが原因〉のものと〈コロナウイルス以外のものが原因〉のものの二つ。肺はみるみる真っ白になっていった。

まだ新型コロナウイルスの全貌が分かっていなかった頃だ。先生は呼吸器系のお医者さんでネットワークされているメーリングリストに、僕のレントゲン写真を添えて意見を求めてくれた。

先生はエイズまで疑って、いろいろと検査をしてくれたが、結局何に起因するものかは分からずじまいだった。

ただ、「こうして身体が弱くなると、何かのきっかけで肺炎を起こしやすいと思ってこれからの人生を生きてほしい」と先生に言われたことは衝撃的だった。

これからの人生を生きてほしい、なんて、卒業式で学校の先生に言われるような言葉だとおかしかった。

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以来、仕事の量を減らして今を生きている。

入院中に用いたステロイドの影響で血糖値は乱れ、眼の毛細血管がおかしくなってしまった。一生、眼科に通わなければいけなくなってしまったのはそのためである。内科にも毎月通って血液検査を続けているので、高額療養費のお世話になっても、一年で50万円近く医療費がかかる。健康のためにも働かなくてはならない。

毎朝、最低でも5km以上のウォーキングをする。歩けるときは10km。
歩く習慣を続けている限りは体調も安定している。歩くことも仕事だと思って、その時間は確保するようにしている。雨の日でも傘をさして歩く。

生きることに執着しているというのではなく、コロナ病棟に余裕がなく、最後のベッドに緊急入院させていただき、救ってもらった命だ。ちゃんと使っていかなければ申し訳ないという気持ち。あの日以来、ずっと大切にしている気持ち。

何をしたところで、絶対の恩返しは叶わない。ただ、自分の気持ちに一生懸命になることはできる。無駄にはしたくない。

ため息をつくようなこともたくさんある。それもまた、生きているということ。蒼い息で世界を汚してしまった分、僕はベンチから立ち上がって恩返しをする。生きていく。



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