情熱的な恋のできない雪女の悲哀を詠んだユニークな句。熱を帯びた感情を持ってしまえば、彼女の命は一瞬で潰えてしまう。つまり、冷凍庫のなかで愛を告げられて、僕はそれを温かく冷たく受け入れなければならないということだ。もちろん、そんな大切な彼女のことを、僕は詩人でありながらけっして情熱的な言葉で包んでもいけない。
「あなたのことが好きという状態らしいわ」
「どうやら自分もそんな気がする」
「そうなのね」
「そんなもんさ」
それでも愛は存在する。愛の尊さについて。
燃える恋出来ぬ哀しき雪女/みぎわはな
川柳ふあうすと 2024年8月号