東野圭吾さんの『秘密』、読了。
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「男」として読むか、「夫」として読むか、はたまた「父」として読むか。
それによって、感じ方は人それぞれ異なるかもしれない。
僕が、どの立場で読んだのかは、それは…。
嗚咽してしまいそうな、苦しさと切なさを覚える話でもあった。
愛しているから、寛大であるべきなのかもしれない。
愛しているから、許せないのかもしれない。
とても、とても、解釈が難しい。
少なくとも僕は、一般論としての「こうあるべきだ」という考え方を簡単には
受け入れられない男。
だから、多分… 嫉妬、あるいは、憎しみの海にいて、生きてしまうの
だろうな、という気がする。
恋愛に関する切なさなんて、そんな簡単に消えるもんじゃない。
同じこと、憎しみや恨み、それだって、自分からは決して消えることはない
だろうと思う。
だから時折、走り出したくなるような衝動にかられつつ、懸命に、懸命に空を
見上げては、自分に言い聞かせる振りをしてしまうのだ。
いい子の振りは出来ても、いい子にはなれない。
僕の視界には、ずっと映り続けているセピア色の景色がある。
それは、じわっと僕に染み込み続けていて、いつまでもずっと、渇きを覚えない。