個人やフリーランスなど、起業間もない方が仕事を得るために登録しているサイトがあります。
コネクションや実績の少ない人にとって、仕事を受注できる可能性があるこのようなサイトは重宝することでしょう。だから、このサービスの存在意義自体を否定するつもりはありません。上手に機能すれば、頼む側頼まれる側、双方にとってメリットのあるサービスなのだろうと思います。
ただ、発注する側に気をつけてほしいことがあります。
こういったサイトでは、『発注した会社の名前』と『実際に支払った金額』が、サービスに登録していない人にも公開されてしまいます。そしてその支払った金額が、極端に市場の相場よりも安い場合は「あの会社は安く買い叩くところだ」という評価がついて回るようになり、ネット以外のリアルな商取引で、敬遠されてしまう可能性が生じてきます。
「すべてを顔の見えない取引で済ませるからいいじゃないか」
「安い金額で受注している側にも問題があるんじゃないか」
そういう考え方があるのも、もっともです。
ただ、人との繋がりをネット上だけで完結させることも、実際には難しく、ネット上にいつまでも黒歴史が残り続けてしまうのも考え物です。僕たちは新しい会社との取引を検討するとき、その会社の名前をネットで検索します。相場から乖離した金額で業務を依頼しているような痕跡を見つけた場合、やはりどうしても、その会社との取引は慎重になってしまうのです。
起業して社会に関与していくということは、適正な金額での取引を行って、社会への還元を行っていかなければならないということです。「安く買い叩く」とは、その秩序を乱しているということ。秩序を乱す人間は、集団から敬遠される傾向にあるというのは、説明するまでもないことでしょう。
安く買うというのは、誰かに無理をさせているということです。
その歪みは、いずれ自分に返ってくることを十分理解したうえで、「自分の会社の名前がネットに残ること」を想像してみてほしいと思います。