「西端さんは口がうまいので、乗せられます」と、理学療法士の池本さんが話してくれました。
リハビリは生まれて初めての経験。信頼関係がなければ、痛みにおびえてしまい、十分に身体を伸ばしていくことができません。だからプライベートな話をうかがいながら、お互いの自己開示をして信頼を寄せ合っていくという過程が重要なんだろうと思います。
素直に、痛いときには痛いと伝え、気持ちの良い作業は「さすがさすが」と感謝を伝えます。池本さんも喜んでいました、僕もとても嬉しいです。
今日のリハビリで、めちゃくちゃほぐしてもらえて、理論的なアドバイスももらえて、可動領域が増えたよー。嬉しいな、いい理学療法士の先生に出会えてよかった。市民病院の池本さん、治ったら飲みに行く約束した!
— 西端康孝 / 川柳家・歌人・コトバノ (@bata) 2018年10月19日
僕は商売人なので、たとえばどなたかに「僕の身体を治してくれるであろう人」を紹介していただくと、紹介者の顔に泥を塗るわけにはなるまいと、きっと無理をしてしまうと思うのです。「おかげさまで快方に向かっています」と嘘をついてしまうかもしれません。
だからいまは、自分の信じた整形外科の先生と理学療法士の池本さんにすべてをたくして、かならず、元通りの仕事と生活ができるようリハビリと診察に取り組んでいこうと考えています。自分が納得しているのだから、それでいいのです。僕の心が名医であると決めたら、目の前にいるその人たちが、僕の信頼するパートナーです。
こういう状況になって、「あぁ、人物で選ばれるというのは本当に大切なことだな」と痛感しています。起きていることにはきっと意味があって、僕は今、仕事で、自分がどんな風に選ばれたいか、選ばれるためにどうすればいいのかということを、病気に教えてもらっているのだと思います。
いま、一番嬉しいのは、心に惑いの生まれる様々な情報を与えられることでも、あれこれ誘われることでもなく「身体が落ち着いたら飯に行こうぜ-」とお誘い、約束をいただけることです。未来にご褒美をつくって、自分を鼓舞していきます。誘ってください。約束大好きです。
整形外科の先生とも、理学療法士の先生とも、約束ができました。
病院でする約束ではないのかもしれませんが、自分の身体を預ける人です。そんな約束があるから、「治ったね」と喜んでほしくて、自分もリハビリを頑張ることができるのです。
病気にならなければできなかった約束、そして見えなかった景色。
人生はこんな風に、豊かになっていくのだな、と思いました。