第155回芥川賞を受賞した村田沙耶香さんのコンビニ人間を読んだ。
「静」であることが多い文学作品の傾向に対して、コンビニ人間は「賑(動)」だと思った。最初から最後まで、ずっと映像がついてくる。だから難しくなくて、面白い。世界の部品としてのコンビニ店員である主人公の位置付け。組み込まれた生き方で世界に融合しようとする試みと距離の置き方が、いかにも現代を象徴しているようだった。
関わりたくない、けれど、関わらなければならない世界の音、声。すべてを遮断して、本を読むことだけに没頭できたらどんなに幸せだろう思う僕は、すこしだけ、主人公の気持ちが分かるような気がした。