敵がどうだの、外部環境がどうだの、なんだかんだ言っても、自分のなかに幻想を見てはその言い訳をしているだけなのかもしれない。僕たちも犬たちも、いつも何かにおびえて生きている。
仏壇の父と向かい合っても、さすがにもう泣くことはなくなった。でも、犬たちの写真を前にするとダメだ。弱い。
性格のバラバラだったうちの家族だれど、犬をこよなく愛するという点においては皆、共通していた(している)。「可愛い」や「愛しい」という表現の基準が犬にある僕は、「犬みたいに可愛いですね」というフレーズを使ってしまって相手を不快にさせてしまうこともある。最上級の褒め言葉なので滅多に使うことはないのだけれど、いい加減、このあたりは改めていくようにしなければならない。