「言葉はいつまでも、一つの母国である。魂の連帯を信じないものたちにとっても、言葉によるつながりだけは、どうかして信じられないものだろうか?」と言ったのは寺山修司(ポケットに名言を/角川文庫)。
信念に生きても、伝わらなければ生きていけないことがある。では伝えるために大切なことはといえば、相手の受け止め方を想像することであって、修辞の技法ではない。立派なことを書いているようでいても「上から目線だな」と感じさせてしまえば響かないし、「苦労をされてきたのだな」と想像してもらえれば共感が生まれるようになる。
ちゃんと経験してきた人は、「教える」のではなく「伝わる」ように話してくれるので、僕はそんな語尾の価値を知る人たちとの繋がりを大切にしていきたいし、そんな先輩たちに教わったように伝えていきたいと考えている。
―― たとえば
「こんな風に頑張っています」と言いたくなるときに「こんなことをしている自分を応援してくれる、素敵な人がいます」と書くようにすれば、どんな印象を与えるだろう? 書かずとも伝わる、行間のチカラ。想像力。想像を創造する。11年目の僕がいま、事業の中心に据えていることの一つが、このような「表現力の相談」なのである。