フェイクファー風を含んで湿りだす守りたいのは正しさじゃない
法橋ひらく
それはとても速くて永い (新鋭短歌シリーズ)
べき論をそれっぽい顔をして頷いて聞いている。生きていくっていうことを最優先に考えたとき、どうしたって生存戦略が必要で、戦略の流れのなかで仮面を付け替えるのが大人になったってことだ。青臭いことを言う割に、実はいつも方程式のようなものを抱えていたりする。いつかの僕は、いまの僕を見て卑怯だと言うだろうか。
とんがって生きていることがカッコいいのだと思っていた時期もあった。笑えるほどに青かった。ただ、「守りたい」と声にする言葉は妥協ではなくて、真から、純粋だったような気もしている。とおいとおい昔のこと。