相談に来られる方は、販促という言葉の意味を狭義ではなく広義で考えていることがほとんどだ。だから僕はアイデアを出すし、アイデアを実践していくための資金の調達方法や社内での士気高揚の方法も一緒に考える。なにより、自分自身が販促の体現者として結果を出し続けなければならない。「これを食べると元気になりますよ」と言っている人が「最近ずっと体調が悪くて」なんて言ってしまえば途端に説得力がなくなる。「お金持ちになる方法を売ります」という言葉の矛盾、つまり、体験は尊い。
ブログという手段によって、自分の期待した程度の結果は出せるようなってきた。以来、僕は、書くということを語るとき、語尾から曖昧さが消せるようになった。どこかのお偉いさんの理論を引用してくる必要もない。自分はこんな風に考えた、仮説を立てた。実践した、修正した。結果、こんな風になった。そのプロセスと結果が証明で、僕はそれを数字と感情を添えて伝える。説得力というのは知っている理論の数ではなく、失敗を重ねて体験してきた数のことをいうのだと思ってる。
虚業という言葉自体に明確な定義はなくて、僕は虚業という言葉を「経験を伴わない知識の受け売り」の状態を表すときに便利に使わせてもらうことにしている。どこかで聞いたようなことをそのまま受け流して生業にしようかと思うとき「あぁ、いま、自分は虚業をしようと考えていた」と戒めにも用いる。自分の経験していないことを相手に渡すこと自体は、売るトークを考えれば難しいことでもない。大切なことは渡したあとに罪悪感が伴わないかどうかで、顧みて、僕自身もいくつかの罪悪に囚われるし、そんな風なものを僕に渡そうとする存在には強い嫌悪感を抱いてきたという経緯がある。
コンサルを生業とする人にも、カタカナを多用する人とカタカナを使わずに伝えようとする人たちがいる。これはとても失礼な話かもしれないけれど、「二代目」や「おぼっちゃん」の多い僕たち中小企業の経営者にはその小難しい概念や知識にアレルギー反応を示す人が多いように思う(=僕たち零細企業の社長はそれほど賢くない)。どれだけ大きな会社で実績を積んできたのか、どれほどのインプットを重ねてきたのかは知らないが、その「虚」を中小企業の経営者の「血肉」にするためには、言葉を置き換えて伝えなければ相手の腑に落ちないという想像力が必要であると考えた方が良いだろう。
引用元:コンサルの知識よりも「中小企業の経営者はカタカナが嫌い」という想像力を大事にしたい | 川柳をこよなく愛する明石のタコ
忙しそうにしていることを演じずとも、自らが体験して結果を出し、それを他に伝えることの出来た人のところには自然と人が集まってくる。虚業ではなく、実業でありたいと思う僕はやっぱり今日も試行錯誤を繰り返して、この体験を付加価値として認められることを目指していく。たくさんの失敗、今日も頭を下げて泣いた。これはいつか未来のための、僕の貴重な体験のひとつである。