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販促とは知識を売るのではなく想像をすること ~いつか社長を辞める日の話

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デザインっていうのは手段だと思ってる。どれだけ優れたデザインで販促をかけたとしても、伝えられるのは雰囲気と期待だけ。「この人から買いたい」という決心のところまで道筋を作ることが商売人の知恵であり誠意。普段から僕は他を蔑んではいけないという話をよくするけれど、理論に詳しくどれだけスキルが高くても、誰かを不快にさせてしまう言動や、不快にさせてしまう可能性があることについて想像力が及ばない様子を眺めているとハラハラとしてしまう。「かっこいい」「きれい」「かわいい」「雰囲気が良い」という印象の核にあるものは人そのもの。見透かされた軽薄な人間性のうえに被せる理論やデザインほど違和感のあるものはない。

前川企画印刷でも、ちゃんと「人そのもの」を伝えていこうという話をしている。

神戸の印刷、出版と販促。前川企画印刷公式ブログ「嵐のマエブロ」

そうして立ち上げたのが公式ブログ。堅苦しい書き方をする必要はない。商品やサービスを売り込む必要はない。ここで実験したことを、まんま、お客さんに知恵として還元すれば良い。そうやって経験を重ね、経験を売るようであってほしいと思っている。それっぽい知識なんてものはどこの本屋さんに行っても並べられているのだから、自分たちは自分たちの歴史だけを見てもらったらそれで良い。販促とは知識を売るのではなく、お客さんに寄り添ってお客さんのお客さんを想像することだ。

制作担当企画営業担当にもtwitterで毎日の自分を伝え続けるように話をしている。間違っても「自分はこんなに頑張ってる」なんてことは書く必要はない。頑張るのは当たり前で、その当たり前のプラスαの人間性にひとは興味と期待を抱くものだ。そのために継続していくこと、伝え続けていくこと、交流を重ねることを習慣にしてほしいという話を何度も繰り返し、9月からは給与査定にも連動させることにした。社長だけが何かを伝え続けようとしているような組織はチームでもなんでもなく、伸び切ったゴムそのもので、寿命は限られる。

「西端くんの会社のあの人、おもしろいね」

そんな風に言われて、彼ら自身が呼ばれてお客さんのところに出向いていくようになる。最初のころは「社長、元気にしてる?」という会話があっても良い。ただ次第に、自分の存在は会話の中から消えていくようになる。僕の目指している理想はそれで、僕は自分を殺していく必要があると思っている。

公式ブログへのリンク、そして彼らのtwitterも紹介した。自分たちで出来るようになったら、自分たちがこの会社の次のリーダーになれば良いし、自分たちが本気にならないのならば、自分が社長を退くという話もしている。彼らの仕事に責任は持っても、彼らの無責任にまで責任を感じる必要はないと最近になってようやく気付いたからこその決意。「仕事をさぼってtweetをしている」と言ってくるお客さんがいるとすれば、それは自分たちのお客さんとみなす必要もないという話をした。ここまで決めておけば、人間性を伝えようとしないことを言い訳にする材料もなくなるだろう。

売るのではなく選ばれる。販促とはマーケティングとは売るのではなく選ばれるということ。僕の思いこみかもしれないが、僕がリーダーである限り、前川企画印刷の行動指針のひとつだ。彼らを評価してあげてほしいな、と思う。

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