あと少しのぼれば空が見えますよ抱きしめているもの捨てなさい
東直子(twitter)
十階 短歌日記2007
荷を背負ったままで走りきれるわけがないのに、まるで命よりも重たいものであるかのように抱えてしまう。結果、膝から崩れ落ちて君は、追いつかれて肩にかかる手にすべてを諦める。守るようにして胸にあったものは、執着が名を変えただけのもの。捨てることを先に立てたら、新しい景色に触れることができる。
何をやるか決めることよりも、何をやらないかを決めることの方が重要な気がする。生産性のある仕事をしている人の机はいつも片付いていて、僕の机のように、山や谷や土砂崩れの跡がない。身軽さが加速の根源であることはわかっていても、思いきれないのはどうしてだろう。いつか自分がメモに残した「やればできる子はやらない子」の文字に、自ら刺さってる。どんな空が見えてくるだろうと想像するのは深い林のなか。光に遠いところでキーボードを打つ。