前衆議院議員で、今度の選挙にも出馬するIさんを見かけた。
Iさんは、隣の高校の出身。
Iさんも自分もそれぞれ同窓会の役員をしている関係で御挨拶を
させていただく程度のお付き合いは以前からあった。
自分の知り合いが国会議員になったというのは大変喜ばしく、
当選後も動向を見守ってきたのであった。
ところがそんなある日。
テレビを何気なく見ていると、Iさんが厚生労働省の幹部に詰め寄っている。
「どうしたあんな危険なイレッサという薬を急いで承認したのだ!!」
言外には、(ただちにイレッサの承認を取り下げろ!)という意思が読み取ることが
できる。
自分の応援する政治家が、自分たちが大切だと思う人の命綱を奪おうとしている事実。
ショックだった…。
マスコミも、みんなイレッサを叩いた。
イレッサは悪魔の薬、イレッサは人の命を奪う。
でも。
イレッサで生き永らえている人がいることを、誰も報道はしてくれない。
癌、という怖い病気に対して、残念ながら今のところ、何の苦痛も伴わずに
根治させる可能性を持った薬は世の中には存在しない。
なのに、イレッサだけが(様々な経緯はあったとはいえ)叩かれるのはどうしてだろう。
杖がなければ歩けない人の杖を、あなたは奪うことが出来ますか??
車椅子で街中を進む人の進路に、あなたは大きな石を置いて遮ることが出来ますか??
世の中のありとあらゆる事実には、裏と表がある。
どうか流されることなく、冷静に受け止めていただきたいと思う。
これからも、これを命綱にしたいと願う僕らや同じ病気を持つ人たちのためにも。