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その小さな鼓動に手を添えて。

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父さんの仏前で、堪えていたものが止まらなくなった。こんな時だけ力を貸してくれって困るだろうな。それでも、頼むよお願いだよって、叫んでしまった。

年齢のこともある。苦になる選択をするつもりはない。この病気には抗ガン剤が効きやすいということ、何もしない方が苦しい最期を迎えてしまう可能性があるということ、人間の場合と同じような副作用がキツくはないということ。そして「効けばその効果は顕著に」という先生の言葉に希望を抱くことにした。

心を支配するもの、空気に舞うもの。
集中力が出ない。

不安を埋めるように、活字を追いかけている。この瞬間が永遠であれば、これまでの甘美な日々とこれからの希望だけを信じて、小さな鼓動に手を添え続けてあげられるのに。

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