がんサポート6月号の記事が非常に興味深い。
この雑誌に書かれている内容を頭にインプットして医師との説明に臨んだら、明らかに
医師からの反応が違った。患者側がよく勉強してきていると、医師だって中途半端な
説明や治療は出来ない。結果的に、熱心な応対を期待することができ、患者や家族たち
は、少なからず、「この医師を信じてみよう」という安心を得ることができる。
『イレッサの真実』では、副作用の発現状況を知ることができる。
なるほど、確かに認可された直後は、イレッサの副作用で多数の人が亡くなっている
ことがよくわかる。しかし、最近は慎重な投与により、副作用の数も少なくなってきて
いるのが理解でき、また、それで死に至る件数も激減していることがよくわかるだろう。
『ポスト・イレッサの有力な抗がん剤はこれだ』では、イレッサのような分子標的治療薬
がどうしてがんの増殖を抑えるのかということがわかりやすく書かれている。
また、タルセバ(エルロチニブ)以外にも、アバスチン(ベバシヅマブ)が未承認では
あるものの、「次の承認めざして」期待されている薬であることを知ることもできる。
その他、エルビタックス(セツキシマブ)やアリムタ(ペメトレキセド)、セレブレックス
(セレコキシブ)やサリドマイドも注目に値する薬であると書かれている。
がんサポート
出版社名:エビデンス社
発売号:2005/05/16発売号(6月号)
商品価格:1200円
特集・肺がんの最新情報
この記事をご参照いただければよくわかるが、「イレッサは最後の手段」と考えて
いる人が多いなか、可能性は他にもたくさんあることは間違いない。
先日ご紹介した肺がん治療症例集分子標的治療薬ゲフィチニブというイレッサに
関する本と合わせて読んでおけば、手術不適応とされてしまった肺がんであっても、
積極的な治療を施していくことができることがきっと理解していただけるものと思う。
逆に言えば、これらの本や雑誌から得た情報を医師にぶつけてみて、納得のいく回答が
得られなければ、その医師は信頼に値する医師とは言えないのではないだろうか。
雑誌はすでにバックナンバーなので数も限られるとのこと。
早めに入手されて、『希望』という武器を持って欲しいと願う。
===
【以下、特集の概要目次】
特集・肺がんの最新情報
肺がんは厳しいがんです。死亡率第1位です。この隘路をなんとか大きく
切り開いてほしい、そう願うのは患者さんやご家族のごく普通の心情です。
イレッサの出現はそれに手を貸した初めての助け舟でした。ところが、社会
はその道をもう一度閉ざそうとしています。その社会に患者の真の声が届く
ように祈って、この特集を贈ります。
これだけは知っておきたい肺がんの基礎知識
監修●後藤功一 国立がんセンター呼吸器科医師
「肺がんの疑いがある」ということで検査に行ったとき、肺がんに関する知識
が何もなかったら、医師の説明を聞くだけであとは検査、治療のベルトコンベ
アに乗せられていくだけです。自分の命を医療の場にあずけようとするとき、
あらかじめ病気に関する知識と、医師に何をたずねたらよいのかを知っていれば
これほど心強いことはありません。ここでは、必要最低限これだけは知っておい
て欲しい肺がん知識のイロハを整理してみました。
患者会メンバーが承認取り消し問題に切実な声
私たちからイレッサを奪わないでください!!
文●沖原幸江
増え続ける副作用死と、アストラゼネカ株式会社の「イレッサに延命効果はなか
った」との結論をもとにイレッサの承認を見直す動きが活発化した。米国では回
収を視野に入れた規制を、欧州ではア社による承認取り下げが行われた。日本で
も承認取り消しの声が高まる中、肺がん患者会メンバー(提出当時主宰)の沖原
幸江さんはイレッサの承認継続を求め、厚生労働大臣宛に意見書を提出した。
イレッサの真実
肺がん患者に有用な薬。しかし、副作用のない夢の薬ではない
取材・文●常蔭純一
肺がんに対する大きな効果を期待され、夢の新薬といわれながらも発売後、副作
用の間質性肺炎による死亡が相次ぎ、問題となっている「イレッサ」。昨年末、
英国のアストラゼネカ株式会社が「イレッサに延命効果はなかった」と発表し、
関係者に激震が走った。国内の副作用によるものと思われる死亡者数は05年3月
現在600名。遺族により国と製薬メーカーを相手に訴訟も起こされた。しかし、
イレッサにはスーパーレスポンダーと呼ばれる、劇的に奏効する患者がいること
も確認されている。イレッサの真実について専門家に聞いた。
ポスト・イレッサの有力な抗がん剤はこれだ
がんの血管新生を阻害する薬、イレッサに似た薬、副作用を大きく軽減した薬
などが続々
監修●坪井正博 東京医科大学病院外科
「イレッサに次ぐ有効な抗がん剤にはどんなものがあるのか、ぜひ知りたいで
すね」。肺がん患者に今、何に関心があるか、聞いたところ、多くの人から返
ってきたのがこの答えであった。そこで、このポスト・イレッサの抗がん剤に
ついて調べたら、続々と期待の持てる薬が出てきた。
胸腔鏡手術vs開胸手術
そのメリット・デメリットを聞く
胸腔鏡手術
痛みとダメージの少ない胸腔鏡手術は免疫能が落ちず、がん細胞の増殖も抑える
監修●加勢田靜 国立病院機構神奈川病院副院長
開胸手術
12センチまで縮小し、目と手での確認作業が可能に。開胸手術は最もリスクの
少ない手術だ
監修●吉田純司 国立がんセンター東病院呼吸器外科医長
かつては胸の肋骨にそって30センチも切るのがスタンダードだったという、肺
がんの手術。手術自体が大きな負担と後遺症を患者に強いるものだった。そん
な状況を変えようと、パイオニア的な医師たちがこつこつと技術や機器を充