庭のサクランボが、満開になって春を告げてくれた。
雨に散ったら悔しいって。
少し、うつむいた表情をして耐えていたのは、昨日の夜のこと。
3月の空は、複雑だ。
去年は今ごろ、父の手術がうまくいって喜んでいた。
長年住み続けた家の取り壊しが始まって、切なさを覚えていた。
そして、父の体調が急変して、4月になってすぐの別れを迎えた。
この時期になると感じる、土の匂いと空の気配に。
桜の予感を覚えては、去年のことを鮮明に思い出してしまう。
もう、涙はほとんど流さなくなったけれど。
それは、同居のように、僕の心に、ちゃんと。
父の居場所が出来たことなのかなぁと、考えるようにしている。
また、春が、やってきた。
父は、桜降る中を旅立っていったけれど、今年は。
どんな風に、空を見上げようか。
少し、考えたりすることもあるのは、今日、この頃のこと。