雨に降られるのは鬱陶しい。
だが、雨に用心して、持って出た傘が役に立たなかった一日はもっと腹立たしい。
朝、出がけの判断ミス。
余分な荷物は、まるで傘以上の重さで腕に重く、
恨めしい太陽は、必要以上に僕を照らし、じりじりと焦がす。
うっとうしいーーーー!!!!!
周囲に誰もいないことを確認して、赤信号のピッチャーズマウンドを睨む。
4番打者の僕は、エースの投げる剛速球を軽やかに打ち返す。
しゅんっと、宙を切る音。 打球は勿論、誰にも見えない速度でスタンドへ運ばれる。
少し満足気な顔をして、僕は日常へと舞い戻る。
ほんとに誰も見ていなかっただろうな? と、もう一度だけ周囲を見回して。