七日ごとの集まり。
形ばかりのお経、気持ちの問題だよ。
話題にのぼる父の思い出は、昨日の温度を添えて繰り返される。
真夜中の墓苑巡り。
4ヶ所ほどを回って、母に、強く、あるところを主張した。
「明石駅のホームで見た公園とお城。それで、ここに決めた」
明石に住むことを決めた理由を語った父の。
それを覚えていて。
そして、僕に流れる血の中にも、同じ沸き立つものがあり。
(ここなら、きっと)
対話という名の、息子の直感って奴だと信じたい。
スーパーに並ぶ西瓜を眺めた。
棺の中にも、切り分けた西瓜を入れてあげた。
父は、とても西瓜が大好きな人だった。
ふと、そして、そんなことを思い出して。
ある対象を通じて浮かぶ懐かしさと寂しさは、まだ、まだまだ、
尖った角度のままに心に迫り寄ってきては苦しい、夏の訪れだった。