小僧さんから寄せていただいた川柳を、鑑賞させていただきました。
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空青い哀しいまでに白い鳥
街の川金魚一匹彷徨って
青と白のコントラスト、街の川を悠々と泳ぐ赤。
ほんとうは、そこに「広さ」という自由を感じるはずの表現に、
なぜか寂しさを覚えてしまう。
どこへ行くのだろう どこを訪れるのだろう。
空を見上げ、川を見下ろして
その、作者自身は
もう 触れることの出来ない大切な何かを
しっかりと抱いて生きているのだろうか
どこまでも限りない空の下で
生きていることに時々寂しさを覚えながら
時々は思い出しながら。
真夏日の昼のろうそく二本ゆれ
じっとりと空気を畳み油蝉
けたたましい蝉の響き
なのに 時々 ぴたっとそれが鳴り止むような錯覚を覚えることがある。
耳になれて 静寂という時間のなかで
湿り気を帯びた 重たい風が吹いてくる
やかましいはず うるさいはず
だけど 静か そして ひとり ふとそこに。
声が聞けるような気がして 扉を開く。
通じ合った2人は、許されて、声をかけあっている。
白い地は乾いた夢の転がって
濃紺の想い出ぐいとかき回す
ふとしたときに思い出す 音のない景色。
見ない振りしていて、辛くなって、思い切って向き合ってみる時間。
想いは 絶えることなく存在している。
どうしてでしょうね、胸の真ん中に据えたいものほど。
僕の中でもいつも 音のない世界が広がって、苦しくなります。
人は ずっと誰かの想いの中に 生きていきたいものなのですね。