ある友人の家にはテレビがなかった。
テレビがなくて、何が楽しいんだろうと不思議に思ったものだが
その家族は、和気藹々といつも笑顔が絶えない生活を送っていた。
その日あったこと、思ったこと。
いろんな景色を伝え合うその家族は、自分にとって本当に理想そのものだった。
いま。
家人が、テレビのスイッチをいれると、ふぅっとため息が出てしまう。
食事をしながらテレビをみる。
なんだか、そんなことしか「共通」がないのって、あまりに悲しすぎるではないか。
与えられる「情報」ではなく、もっとそれぞれの「情景」が、この食卓の上を行き来する
ようであれば・・・。
そんなことを考えながら、適当な作り笑いで時間を過ごすことが増えてきている。
テレビって、いるかなぁ。
僕はとっても重大なミスを犯しているような、そんな焦燥にかられることがある。
テレビの電源をオンにしない、いつかその日のために。
会話の材料をストックしておける、そんな自分でありたいものだ。