子どもの頃に住んでいたマンションの階段で、キンケシやビックリマンシール、プロ野球カードなどを出し合って遊んだ記憶がある。
すぐに飽きて違う遊びに興じようとする少年の頃だ。雨が降れば移動に制約が生まれて、ずっと同じ場所にいて同じことをして遊んでいられる。僕はそういう感覚を好んだので、雨の当たらないマンションの屋根に守られているのは至福だった。
自分の城、とか、秘密基地、とか。
今もそんな響きに憧れる。居酒屋さんの個室が妙に落ち着くものそう。この屋根の下、この線からこの線までは自分の領域。自分がいていい場所。ほっとする。
散歩中に見かけた光景。
雨が降ったら、この自転車の横に座って、落ちてくる粒たちを眺めて過ごしたい。雨を眺めて過ごす場所。想像しただけで全身がゆるむ。
わかってる。怪しいのはわかってるんだけどね。