東野圭吾さんの『時生』読了。
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「好きな人が生きていると確信できれば、死の直前まで夢を見られるって
ことなんだよ。あんたのお父さんにとっておかあさんは未来だったんだ。
人間はどんなときでも未来を感じられるんだよ。どんなに短い人生でも、
たとえほんの一瞬であっても、生きているという実感さえあれば未来は
あるんだよ。明日だけが未来じゃないんだ。それは心の中にある。それさえ
あれば人は幸せになれる。」
小説を読んでいて、ここまで涙をこぼしたのは生まれて初めてだ。
運命、神様の決めたシナリオ。
僕らは、それに沿って役割を演じている。 喜びも、悲しみもすべて。
抵抗することさえも、あらかじめ決められているのだろうか。
予定通りを生きて、でも、未来のシナリオが渡されていないから、そこに
幸せを期待して、一生懸命に生きる。
素敵な話だった。 転機なんて、ほんのタイミングで訪れるものなのだ。
過去からの束縛、僕は未来を思えず。
青いため息をこぼしては、「なんで」と「どうせ」を繰り返した。
鼓動、心の中の、すこし、温もりを持ち始めたあたりの。
血の流れを、熱き、大きなものに。
未来へ繋いでみよう、誰かの力ではなく。
己の内側にある、この信念ごと。 想いごと。
生まれてきてよかった、そんな。