玄関の外に置いてあるメダカたちが遊ぶ鉢には、ホテイアオイという水草を浮かべてある。夏の光が大好きなホテイアオイは、株から分かれて増えていき、時々、こんなに美しい花を咲かせて目を楽しませてくれる。
咲いている時間はとても短くて、気が付けば、枯れているそれに出合ってしまうことがある。誰のために咲いているわけでもないのだろうが、毎日通る場所に気持ちを向けることのできなかった自分に申し訳ない気持ちになってしまう。世の中には、気持ちを向けた人だけが気付くことのできる特別なものが、きっと存在する。僕は時々、何かを言い訳にして、世界を見落としている。
秋の風をホテイアオイが咲いていた。もうすぐ、この子たちの季節も終わりを迎える。