仕事をする自分のルーツは何なのだろうと振り返れば、やっぱり父親の存在になる。経営者ではなく商売人。経営者である前に商売人でいる。僕の信念と行動哲学には、今もいつまでも父が生きている。
もう、店の跡形もなく、馴染みだった店主たちもほとんどいなくなってしまった元町通り四丁目の商店街に、商売をこよなく愛した父らしい痕跡があったのだが、母に聞くと、最近の工事でそれもなくなってしまったそうだ。いつだってお客さんの視点で物事を想像した父の痕跡。瞼を閉じれば、今の僕の手本だけの浮かぶ。
経営という言葉に縛られて苦しくなっているのかな、と思う。僕は商売人。先にあるそれを忘れては、父の背は遠くなるばかりだ。
僕の信念と行動哲学には、今も父が生きている。痕跡にすらもう触れられなくても、僕は父と生きていく。