人民元の取引時間が2016年から7時間延長されることになった。
中国人民銀行(中央銀行)は23日、上海外国為替市場での通貨・人民元の取引時間を来年1月4日から7時間延長すると発表した。
現在の取引時間は午前9時半から午後4時半までだが、午後11時半まで取引できるようになる。
これによって人民元は国際市場の動きにより連動しやすくなる。政府にコントロールされているというイメージを払拭して、国際通貨としての人民元の価値を高めていくことが狙いと思われる。
現在、ドル、ユーロ、ポンド、円の4つの通貨がSDRを構成している。2016年の10月からは、ここに人民元が加わることになった。しかも、ドル、ユーロに次いで三番目の比率で。SDRとは引換券のようなもので、IMFに出資している比率に応じてその権利を行使することができる。たとえば日本が通貨危機状況になった(国外にお金が出ていってしまった)時は、これによってドルやユーロといったお金を借り入れることが可能になる。ドルを借りてくれば、そのドルによって世界中から必要な買い物ができるので、難をしのいでくださいねという仕組みだと考えておけばわかりやすい。
火事に備えて置いておく消火器に、これまでは採用されていなかった中国製のものが採用されるようになったと置き換えてみると良い。国際通貨としての価値を高めるとはそういうことで、中国はSDRに採用されるために長い時間を費やして根回しを行ってきた。中国の経済成長が鈍化していくなかで、中国の指導部は先進国となる前に(日本のような)高齢化社会が到来してしまうことを懸念している。悲願だったSDRへの採用を前倒しで急ぐことにより、中国は経済改革を推し進めていく姿勢を表したといって良いだろう。
相対的に日本の円は価値が下がってしまう可能性がある。「円の国際化」「東京市場の存在感を強く示していく」ことは重要な課題で、政財界のリーダーたちの舵取りについては注視していきたい。