セミは虫たちに主役を譲って、月は歌われるための顔をして宙に浮かぶ。最高気温が30度を超えない日が続くのを天気予報で見つけると、本当に夏が終わっていくんだなぁという感慨を覚える。
延長戦のような夕方からの時間を重ね、秋に触れ、月を見上げる。どんな形容詞も勝ることのできない時間だなぁと思う。
— 西端康孝 / 川柳家・歌人 (@bata) 2015, 8月 27
初物の秋刀魚を見て、僕たち商売人は「今年も初物に逢えた」のだという気持ちで受け止められるようでありたい。値段は事情によって色々と変わることだろう。旬をいただけるまでに携わる人たちの労力と生活を想像して敬意を表する。その働く人やご家族までをも含めた適正な金額にケチをつけるような無粋な真似はしない。
季節が運ばれてくる幸せを噛みしめる。携わる人たちの祈りを想像する。自分も輪の中にいることを感じる。僕は僕の考える商売人の在り方を大事にしたいと思う。