殺処分される予定だった犬の夢之丞。最初は怯えていたのに、ひとの温もりに触れ、訓練され、使命を知って、強くなっていく。
生あるすべてのものは誰か何かに「与えて」いるのだろうし、自立という強い言葉に憧れながらも僕らは「与えられて」日々を過ごしている。命のつながりを軽んじてはならないということを、夢之丞の瞳の変化に教えられる。
いまにも咲かんとする蕾を見上げながら散歩をしていた人が、一生懸命、連れている犬にもその存在を伝えようとしていた。もちろん、犬はそのメッセージを解そうとはしない。真意は伝わっていないのに、伝わった気になっている。その気持ちは懐かしくて、僕もよくわかるよ。