俳優の高倉健さんが亡くなった。
映画「網走番外地」「幸福しあわせの黄色いハンカチ」「鉄道員ぽっぽや」などで男気のある寡黙な人物を演じ、「健さん」と親しまれた日本映画界のスター、高倉健(たかくら・けん、本名・小田剛一=おだ・ごういち)さんが、10日午前3時49分、悪性リンパ腫のため東京都内の病院で亡くなった。
iTunesストアのランキングでも、高倉健さんが出演された映画に人気が集まっている。刑務所を出所したばかりの主人公の過去と奥さんへの想い、若いカップルのラブストーリーが北海道の四季とともに表現された幸福の黄色いハンカチは公開されたその年の映画賞を独占したと聞いている。雰囲気のある役者が亡くなっていくのは本当に残念だ。
俳優の高倉健さんの死去を悼み、北京の日本大使館に中国人のファンから突然花が届けられた。北京の日本大使館は「予想外の反応」として、広報文化センターの入り口に置いている。北京の日本大使館には2012年の反日デモの際、ペットボトルや卵などが投げつけられたが、花が届けられるのは異例だ。
大使館によると、花は高倉さんの死去が伝えられた翌日の19日に届いた。うち一つは中国の著名な男性俳優、孫淳(そん・じゅん)さんと男性作家の王斌(おう・ひん)さんの連名によるもので「死去の報を聞き、涙が流れます。私たちの世代は、あなたの影響を受けて成長しました。出演していた映画は、私たちの人生の一部分です。またいつか、天国でお会いできると思います。その時まで、私たちはあなたの高貴な精神の追随者です」と書かれたメッセージも添えられていた。
アジアと日本の関係は決して良好なそれであるとはいえない。
あいだを隔てるのは大きな海だけれど、それをあえて小さな川であると称した人のメッセージが今も僕の心には焼き付いている。月並な表現だとは思うけれど、高倉健さんは、演技という表現によってその川を渡る橋を築いてくれた。あらゆる表現は感性に届くもので、言葉の理解を要しない。感動が影響を与えて、訃報は涙を呼んだ。たったひとりが氷に温度をもたらしたという事実に、僕は感動を刻んでおくべきだと思ってこの記事を書くことにした。泣けるじゃないか、泣けるじゃないか。
山田洋次
ジャンル: ドラマ
リリース日: 1977-10-01
価格: 1,500円
posted with sticky on 2014.11.23
受け入れることは容易ではないこと。
それでも、響く何かは素直に受け止めたいし、伝えていけば良いと思ってる。時代が生んだ憎しみを、共感が溶かしていく。きっとそんな風になればいいよね。そんなことを中国に広がる追悼のニュースを眺めながら思った。高倉健さんの遺してくれたことのひとつだね。