松山千春さんの新曲あの日の僕等を聴く。
CHAGE&ASKAは僕にとって宗教、松山千春さんは僕にとって哲学と信条である。
春と秋のコンサートに通い続けて、もう20年近くになる。歌声や詞の内容はもちろん、コンサート中のトークはいつも感動を与えてくれて、勇気にも優しさにもなって僕を支え続けてくれた。「万事塞翁が馬」という言葉を好んで使うようになったのも、松山千春さんのコンサートで教えてもらったからだ。CHAGE&ASKAに出逢っていなければ僕は言葉を選ぶ仕事をしていなかっただろうし、松山千春さんに出逢っていなければ経営者になることもなかっただろうと思う。
新曲あの日の僕等はいかにもフォークソングという曲調と世界観で、歪みのないままに空を見上げた懐かしい頃に一瞬で僕を運んでくれた。
「帰ろうあの日の僕らに 誰もが素直だった悲しみも喜びも眩しいと思えた 帰ろうあの日の僕らに 見上げた空は青く貧しさも将来も気にせずにいられた」- この歌詞はまさに、僕が短歌ブログで書いたイメージと一致する。
台風のあとの空は高くて、運動会の色だなと思うことがある。空は記憶とリンクしやすくて、見上げれば歓声やため息、音や匂いも蘇るトンネル。残響は幼子の頃からずっと続いてる。
懐古する空の方が、今よりもうんと青く高く思えるのはどうしてなのだろう。理屈や邪念、色のついた眼鏡がいま見えているものをいま見えている以外のものに見せようとしている所為なのか。だとすれば大人は、生きるたび、どうして汚れを拭えない生き物になってしまうのか考え込んでしまう。
ともあれ、松山千春さんは新曲をツアータイトルにして、いつもその情景を自分の言葉で伝えてくれる。僕はまた、コンサート会場で涙を流しては生きるヒントを得てくるのだろう。