事業をしていくにあたって、事業計画書を作ることは重要だと思っている。人はぶれるし、感情の起伏でベクトルが変わってしまうようであってはならない。感覚や感情の土台には理由があるべきだし、それをチームで共有していくためにも軸となるものは絶対に必要である。僕はそれを具現化する意味で、メンバーにもお客さんにも未来のお客さんにも知ってもらえるよう、ブログで具体的な想いを書き続けるようにしている。ブログに想いを具体化することを経営指針書の立体化と勝手に呼んでいるくらいだ。
ところで、経営者になって間もない頃、所属する中小企業家同友会の経営指針書作成セミナーに何度も誘われた。そのしつこい誘いに僕が応じなかった理由は、声をかけてくださる方が「経営指針書作成セミナーに参加するべきだよ」と言う前に「経営指針書(や事業計画書)はすでに作ってる?」という質問を僕に一度もしてこなかったからだ。指針書の有無よりもセミナーに参加した経験があるかどうかでひとを判断しようとする。また、うちの会社に来てセミナーに誘うのは良い。ところが開口一番、うちの社員たちにも聞こえるところで「ボーナスはいくらくらい払った?」なんて会話を平気でする無礼さに腹が立ったというのもある。
年収サラッと自慢してくる男にろくな男はいないよな? | ライフハックちゃんねる弐式コンサルのことを「先生」と呼んで、セミナーに参加していない経営者には未熟者のレッテルを貼る。まだ二十代だった僕はいつもずっと憤っていたし、社内に背の高いロッカーを購入したのも、その人が急にやってきたときに後ろに隠れて居留守を使うようにするためだった。会社の芯となる指針書はあっても、周囲を不快にさせない聞く力を持たなければお客さんも社員もしんどくなるだろうなという確信を持って反面教師にできたという点では意味のある時間だったのかなと割り切れるようになったけれど、それはそれはとてもストレスだったことを今だから告白する。
ただ、誤解のないように書いておくと、中小企業家同友会はいわゆる異業種交流会とはちがって、経営の質を高めあうことで各々の会社を良くしたいという経営者(または事業承継予定者)の集まりである。日々勉強のために集っては語り合い、具体的な実践の方法を決めていく。ときにクールでときに熱い仲間たちは孤独を覚えやすい経営者にとって頼もしい存在であることは間違いない。いろんな人がいていろんなことがある一つ一つに「どんな意味があるのだろう」と仮説を決めて向き合ってみる。するとそれが経験値になっていく感覚というのは確かにある。だから僕は、受け身ではなく、能動的になれる人には入会をオススメするようにしている。商売に繋がるから入会するのではなく、商売のために必要な論理的な思考能力とコミュニケーション能力を高めたい経営者には特に中小企業家同友会は有効な存在であると言えるだろう。
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ところで今回この記事を書いたのは、ここ数日、同友会への入会を悩まれている方からブログの問い合わせフォームを通じて質問されることが増えてきたから。「絶対にオススメですよ」「いい人ばかりです」という書き方をしても嘘っぽい気がしたので、あえて最初に、これまで自分が同友会に携わってきたなかで一番嫌だったエピソードを紹介してみることにした。
万人にオススメできる勉強会や団体なんてものは存在しない。最初の1年間は「ゲスト」という形で参加しつづけ、入会金と月会費の支払いを拒み続けた自分だからこそ伝えられることもあるのかと思って書いた次第。参考になるのか、ならないのか。それもきっと色々。
同友会 | 川柳をこよなく愛する明石のタコこれまで同友会に参加して書いたブログの記事はこちらのリンクから。くだらないこともたくさん書けるのは、「仲間」という気安さがあるから。