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過ぎてしまえば、夏は切ない。過ぎる前には、夏は重たい。

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見上げれば梅雨の空、見通しは台風の襲来。

それでもセミは待ちきれず、もう、明石公園で夏の始まりを告げていた。

真っ暗な土の世界にいて、我慢強くエネルギーを蓄えてる。いくつかの季節を数えて、身体が夏の空に呼応する日を待っている。

「頃合いだ」

を、誤らない、その神秘には毎年驚かされるばかり。先頭を切った彼に、仲間たちはいつ続くのだろう。

過ぎてしまえば、夏は切ない。
過ぎる前には、夏は重たい。

夏を謳歌する鳴き声、決めるのは自分の心。悲しくて泣くのも、嬉しくて泣くのも。

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