わたくしは水と炭素と少々の存在感で生きております
笹井宏之
ひとさらい
昨日歩いた道のどこかで見かけたタンポポの数を僕たちは覚えているわけはなく、それでも、タンポポが咲いていたという事実だけは思い出すことができる。人との関わりもそれに似ていて、相手から見たとき、自分の存在は何百分の一にすぎないけれど、ちゃんと咲いてさえいれば「そういえば」と心の繋がりを辿ってもらうことはできる。影響力を与えたいと相手に自分を誇示せずとも、謙虚に、身の丈に応じた咲き方をすることが、僕が僕をタンポポにする唯一の方法なのだろうな、と思う。
影響力を与えられる人間になりたいと思い込みが過ぎて「自己顕示欲の強いヒト」になってしまってもツマラナイ。それぞれの空の下、それぞれの土の上。