阪神淡路大震災から18年が経って、それを経験していない若者たちと話す感覚は、なるほどこれが、僕の子どもの頃に感じた戦争を体験した人とそうではない人との違いであるのだということに気がつく。
手つかずの母の遺品の日記帳わが誕生日のひと言のメモ
幾千の受けし恩義の萬(まん)分の一も未(いま)だに報いずにいる
残さなくては、伝えなくては、返さなくては、なんていう義務感は抱く必要もないもので、人それぞれの自由だ。それでも僕は、それを実践している人たちの姿勢に敬意を表したい。ほんの微力が、ほんの僅かの心に触れて、何かが変わるのかもしれないという可能性を信じる姿は尊い。想いは形にして、伝えていかなければ届かない。
命限りありわが故郷に帰りたしひたすらに待つ安全宣言
経験したからこそ、同じ傷に心を寄せることもできる。