掬われるチャンスを待っている金魚
和泉香
私信花吹雪
投資の世界に「ゼロサム」という言葉がある。誰かが得をした分だけ誰かが損をして、合計するとゼロになるという意味。
日常にも色々な喜怒哀楽があって、君が笑えば僕が悲しみ、彼が怒れば彼女は楽しそうにしているということはある。トータルで考えれば、感情はいつも真ん中の平均を通るようになっていて、ジョーカーのやってくるタイミング如何によって、その悲哀の色や深さは異なるのだろう。自衛するためには、そう、ピンチとチャンスは表裏一体であるという考え方を普段から心掛けておくことではあるのだけれど、落ちたときに見上げることは、なかなかに難しい。
いろんなことがあって、凹んで、そのあと、明確なwantを口にできるようになった一年だった。僕を刺すようであったナイフは、案外、停滞していた未来を拓くためのものであったのかもしれない。