16年寄り添ってくれた愛犬が逝く。父は桜の舞う中を、愛犬はサクランボの薄紅で出来た絨毯の上を旅立っていった。サンタの演出が好きだった父に似て、我が家のアイドル犬もきっと時季を選んだに違いない。似ているね、家族だね、寂しいね▼花に満ちて、エネルギーに満ちて。春はテンポ良く、次の希望を運んでくる。ここに留まっていてはいけないような罪悪感もあって笑ってみせるけれど、堪えてる。いつまでも弱虫、泣き虫▼別離は詩人の絵の具になる。君の生まれてきてくれたことも、少しずつ、描こう。ありがとう。
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演出が好き 家族って似るんだね
月刊ふあうすと 2013/4月号
裏表紙掲載
君は死に僕の絵の具になりました
月刊ふあうすと 2013/4月号
明鏡府自選句